福島ソングスケイプ
CD『福島ソングスケイプ』
アーティスト:アサダワタルと下神白団地のみなさん
2022年3月11日発売
いわき市にある福島県復興公営住宅・下神白団地には、2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故により富岡・大熊・浪江・双葉町から避難してきた方が暮らしています。
2016年末からはじまった「ラジオ下神白」では、まちの思い出と当時の馴染み深い曲について、住民さんのお宅で話を伺ってきました。それをラジオ番組風に編集し、200世帯を一軒一軒訪ね、住民さんだけが聞けるCDとしてお届けしました。
2019年には、住民さんの思い出の曲のバック演奏を行う「伴奏型支援バンド(BSB)」を結成。関東在住のミュージシャンが住民さんのエピソードを踏まえながら演奏し、本人や友人が「その人の声」で歌う。新しい交流がはじまりました。
そして、コロナ禍へ。直接会えないからこそ、それぞれの場所で歌と演奏を録音し、ひとつの楽曲をつくることになります。こうして生まれたのが『福島ソングスケイプ』です。
解説は、ピアノ弾き語り、冬にわかれてのバンドなど音楽家として活動しながら、「原発労働者」など著書も数多く持ち、文筆家としても活動する寺尾紗穂が執筆。
ラジオ下神白 ホームページ
https://radio-shimokajiro.jimdosite.com/
【推薦文】
◎いとうせいこうさん
避難生活を続ける一人ひとりの心の底から、ヒットナンバーがそっと花ひらく。
涙とともに思い出の荒野で、幸せのメロディに支えられて。
知らない人の人生なのに、その歌声を聞いていると気持ちが熱く震えてやまない。
◎山川冬樹さん(現代美術家・ホーメイ歌手)
僕は聴いた。『福島ソングスケイプ』のなかに、過去と未来とが衝突する打音を。ちっぽけな個人の声とサピエンスの声とがこだまし合う響きを。残酷な現実と想像的現実(人はそれを「希望」とも呼ぶ)とが重なりあうハーモニーを。
【トラックリスト】
01_プロローグ
02_横山洋子さんがレコードを聴いた夜
03_ちあきなおみ『喝采』
04_小泉いみ子さんの歌と人生
05_平和勝次とダークホース『宗右衛門町ブルース』
06_横山けい子さんのお仕事
07_藤山一郎『青い山脈』
08_藁谷鐵雄さんの海と初恋
09_加山雄三『君といつまでも』
(クリスマス歌声喫茶バージョン)
10_ブレイクタイム
11_官林健児さんのあの日
12_里見浩太朗『あゝ人生に涙あり』
(水戸黄門のテーマ)
13_青木二美子さんの歌と人生
14_美空ひばり『愛燦燦』
(クリスマス歌声喫茶バージョン)
15_エピローグ
【アーティストプロフィール】
アサダワタル
2000年代にポストロックバンド「越後屋」(NOISE McCARTNEY RECORDS)や電子音響ユニット「SjQ」(HEADZ)のドラマーとして、またソロ名義「大和川レコード」として実験的な音楽・アートシーンで活動してきたアサダワタル。近年は「文化活動家」と称し、全国の地域コミュニティを訪れ、そこで出会った住民たちとワークショップを重ねながら独特な音楽活動を展開してきた。
文筆家としても活動するアサダの著書に、『住み開き増補版 もう一つのコミュニティづくり』(ちくま文庫)、『想起の音楽 表現・記憶・コミュニティ』(水曜社)、『表現のたね』(モ・クシュラ)等。ドラマーとして在籍していたサウンドメディアプロジェクト「SjQ++(SjQ × Kezzerdrix)」では、アルス・エレクトロニカ2013サウンドアート部門準グランプリ受賞。